「近代的な人間活動が行われるようになる以前のH川で釣りをしている」
それが数百年前なのか、数千年前なのか、数万年前なのかは分からない。
少なくても、現在いるところが、堰堤が作られる前、
そしてプラスチックやアルミ缶などが作られる前の時代ということになる。
それならば、ゴミのなさ、ヤマメのみならずサクラマスの遡上、杉の植林がないこと、
そして異様なほどの魚影の濃さも理解できる。
しかし、もしそうだとしたら元に戻れるのか?
そう思った瞬間、突然恐怖に襲われた。
しかし、根っからの釣り馬鹿。
また釣りを再開したのである。
恐怖を打ち消すかのように、フライを打ち込み続ける。
相変わらずポイントポイントから尺クラスのイワナ、ヤマメが釣れてくる。
フライは食わないが、ひらきに定位しているサクラマスも数匹目撃した。
本来1つ目の堰堤がある場所までは1km弱ほどであるが、
尺イワナ10本(最大36cm!)、尺ヤマメ4本(最大32cm!)、
尺以下はイワナ、ヤマメ合わせると50本は釣ったろうか。
そして驚くべきことに、フライロストがゼロなのである。
(さすがにリーダーとティペットは5xに変えたが…。)
しかし、最初に結んだ12番のエルクヘアカディスはぼろぼろで
ハックルも切れてなくなっている。
良くこんなフライで釣れるなぁ…。
そして1つ目の堰堤があるはずの場所には大きなプールが広がっていた。
「ここにはこんなプールがあったんだ…。」
取り合えず、このプールを攻めてから、
今おかれている状況をゆっくり考えよう…。
本当にどうしようもない釣り馬鹿である。
さて、淵尻から探っていく。
あたりはない。
徐々に上流へフライを打ち込んでいく。
ここがこのプールの核心部!
というところにフライを打ち込むと
さすがにハックルのなくなったフライなので、
波にもまれてしまった。
あらら。ピックアップしなきゃ…。
と思ってロッドをあおると、ラインがぴんと張っている。
全く動かない。
根掛かり、ではないよな?
あのプールの深さであの波のもまれ方で根掛かりはない。
でも全くラインが動かないから流木でもあるのかなぁ?
絶好のプールで、これまでの反応のよさから言って
かなり大きい魚の反応があると期待していたのに木にひっかかるとは。
このいかにもポイントからでないなんて、なんか皮肉だなぁ…。
そう思いながら、リールでラインを巻き取りながら
木に引っかかったと思われるポイントに近づいていった。
あと、7~8mというところで、一瞬心臓が止まるかと思うほど
ドキッとした!
なんとラインが伸びていくその先にあったのは木ではなく
でかい魚影だったのである。
「でかい…。」
…その4に続く
(絶対にフィクションでしょう?)
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